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武州工業株式会社

武州工業株式会社 青梅からものづくりを。海外の競争力に対抗する生産システムを確立

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青梅からものづくりを。海外の競争力に対抗する生産システムを確立

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生産システム確立ストーリー
青梅からものづくりを。海外の競争力に対抗する生産システムを確立

 「日本のものづくり」、「青梅でものづくり」とローカル色を前面に押し出したものづくりにこだわり続ける武州工業。大量生産を武器にコストダウンを図る海外勢に対抗し、日本の仕組みの中でコストダウンを考え続けた林英夫社長がたどり着いたのは、“一個流し”を軸にした生産・経営システムの合理化だった。

“一個流し”で日本のものづくりに国際競争力を

 労働力の圧倒的廉価を武器にコストダウンを図り、グローバル市場で勢いづく新興諸国。価格競争に勝てない日本のものづくり市場が苦しい情勢を強いられる中、武州工業株式会社は堅調な伸びを記録している。
 同社の主戦場は自動車や医療品に使われるパイプの加工。この分野でも日本の技術の高さは定評があるものの、コスト面で圧倒的に優位な新興国に市場を奪われているのが現状。とりわけ、自動車部品など大量生産が可能な製品は、巨大な工場と大量の人員を動員できる海外勢の独壇場になっている。そんな逆風の中で武州工業は健闘を続ける。
「海外製品と同じ価格で販売できれば、技術力のある日本の製品をみんな買ってくれるはずです。弊社には12000種類の製品レパートリーがあり、その中から年間900種類・90万本を生産しています。この強みを活かして多品種少量生産に適した“一個流し生産”を導入することでコストダウン。日本のLCC(ロー・コスト・カントリー)化を目指しています」
 そう語るのは武州工業の2代目社長・林英夫さん。生まれ育った青梅の地でものづくりをすること、日本のものづくりを活性化させることにこだわり続けてきた。もちろん、LCC化するといっても、発展途上国並に賃金を下げるわけにはいかなければ、高度経済成長期のようにがむしゃらに働き続けさせる時代でもない。「1直(日勤)8時間、月20日労働」という日本の一般的枠組みの中で、コストダウンを図るには徹底的に経営を合理化するしかない。それを追求した結果が“一個流し”という生産方式だった。

body1-1.jpgキレイな曲線を描く自社パイプを手に話す林英夫社長

日本のものづくりに適した一個流し

 同社が“一個流し”と呼ぶのは一般的にセル生産方式と呼ばれるもの。これは製品の完成に必要な工程を別々の作業員が担当するライン生産方式に対して、一人の職人がすべての工程を完結させる生産方式だ。ライン生産方式は少品種大量生産に、セル生産は多品種少量生産に向いているといわれる。
 林社長は、「一個流しはラーメン屋に似ている」と解説する。一番はその作業スタイルだろう。各工程をこなす機械を「コ」の字型に並べ、職人はその一端から作業をスタート。順番に工程をこなしながら、「コ」の字の中をぐるっと回り、もう一端にまでたどり着くと一つの製品が完成するという仕組みだ。ちょうど、ラーメン屋が「コ」の字のカウンターの中を効率よく動いて一杯のラーメンを完成させるのと同じイメージということだ。
 品質のよさもさることながら、不良品がでにくいのもメリットのひとつ。これもラーメン屋にたとえると「お待ちどう!」と出された一杯は自分のために作られたものだから、仮にほかの人の客に供されたラーメン丼に髪の毛や虫が入っていたとしても、自分のものにまで入っているとは思わない。つまり、一つひとつの作業を職人がチェックしながら作る一個流しは、不良品が出にくいだけでなく、出たとしても続けざまということになりにくいのだ。しかも、どこでエラーが発生したのかもすぐにわかる。
 よく食品関連の工場で異物混入問題が起きると、工場をすべて止めて検品や原因追求をすることがニュースになるが、あれはライン生産だからこそ起こる問題で、一個流しにはそういった問題が起りにくいというわけだ。
 さらに、工程内のチェックを徹底させることで製品完成後の検品を省略。完成後即納品という体制を採っている。これにより在庫を抱える必要がなくなり、大幅なコスト削減が図られたという。

body2-1.jpg「コ」の字型での作業が特徴的な一個流し

道具は職人の手先。一人ひとりになじむ機械を自作。

 技術力を売りにする日本にとって、強力な武器となり得る一個流しだが、これを運用するには越えなければならないハードルが2つある。一つは複数の作業に通じた多能工を育てること。もう一つは、職人の手先同様に動く道具を準備することだ。ここでいう道具とは、「コ」の字型に並べる機械のこと。レーザー加工機などは市販のものも流通しているが、同社ではこれらをわざわざ自作したという。
「市販品は多機能で、完成されたスペックを持っていますが、悪く言えば、不必要な機能も多い。さらに値も張りますし、占有面積も大きいのでそう何台も揃えられるものでもありません。それなら、必要最小限のスペックのものを自作してしまおうと思ったわけです。そのほうが安く済みますし、なにより職人一人ひとりに合わせてカスタム化できるのが大きな利点ですね」(林社長)
 そもそも、職人一人ひとりの手先の代わりとなる機械なのだから、最大公約数的な市販品は不向きなのである。あえて8割方しか作りこまず、残り2割を職人本人に調整してもらうことで、その職人のための機械を作り出す、いわゆるカスタム化は外せないのである。道具の自作により、本体価格は約4分の1で、占有面積も小さく、省エネも実現。設備投資の合理化はコストダウンも導いた。

body3-1.jpg「青梅でものづくり」にこだわる武州工業の面々

武州式・多能工育成法。気づかぬうちに難関技術をマスター

 機械を操る多能工の育成方法にも社長独自の方法論があった。
 「新人には早々に金属加工の最難関といわれるアルミのろう付けを身につけてもらいます。いきなりのように映るかもしれませんが、『難しい』という先入観を持つ前にチャレンジさせれば、2週間もするとできるようになっているんですよ。一番難しいものをマスターしてしまえば、あとの電気溶接やガス溶接は『簡単な技術』になってしまうわけです」
 なるほど、普通なら「簡単なものから徐々に」と考えそうだが、何も知らないうちに難しいものをクリアさせてしまうという逆転の発想だ。ほかの加工についても、難しいものから身につけせるという方法論で、短期間での多能工の育成を可能にしている。
 武州工業の新人育成の極めつけが「BUSYU WAY」という同社オリジナルの冊子。これは会社の理念や規定、給与体系などを明確化するために作られたものだが、セクションごとに必要とされる技能を一覧にしてある。自分にいまどんな技能が必要で、身につけるとどんなことができるようになるのか。それを見える化・体系化することで若き技術者のモチベーションアップを図っている。
 そんな日本の将来のものづくりを支える多能工への一歩を踏み出した若手の活躍も目覚しい。
 2年目の堀あやさん。「車関係の仕事がしたいと思い、初めは販売する方を見ていたのですが、技術力がものをいうものづくりの世界なら男女関係なく活躍できると思いました」と、この世界に飛び込んだきっかけを語る。
 これまで機械とは全く縁のない生活を送っていたところからのスタートだったため、1年目は機械の扱いには戸惑ったという。それでもわからないところは逐一、先輩に聞くという本人の姿勢と、それを受け入れてくれる先輩の懐の深さのおかげで、いまではすっかり作業になれてきたと自身の成長に胸を張る。さらに、同時期に女子社員が増えたことも、仕事に馴染むきっかけになったという。
 谷内丈彦さんも同じく2年目の若手社員。ものづくりの仕事に携わりたいと思い、会社見学をしていたところ、若い社員が多く活躍している姿に魅力に感じて入社した。パイプの先端加工に取り組む一方、2年目からはフィールドをさらに広げたという。
「工程不良をテーマにした改善活動を担当するようになりました。どうすれば工程不良を減らせるか、他の社員の意見を募り、検討しています。工程不良が減れば、残業も削減できるようになり、会社の掲げる8.20体制(8時間・20日勤務)に近づけるので、がんばっています」

body4-1.jpg金属加工の最難関といわれるアルミのろう付け

ISOは卒業。次の目標は日本経営品質賞

 一個流しをラーメン屋にたとえた林社長、職人はラーメン屋の店主と同じと解説する。
「職人には品質・コスト・納期・開発・マネジメント(QCDDM)を任せています。ですから、会社の役割は全体の方向性をそろえることであり、トップダウン・ボトムアップといったピラミッド型の経営はしていません。いわばフランチャイズのようなものですね」
 この制度は、ともすれば好き勝手な状態にもなりかねないため、効率的な生産管理のシステムが必要不可欠となる。そこで、同社が早くから開発に取り組んでいたのがITを活用したWeb版の生産管理システムだった。
「今日はこういう注文がきました」「この作業からはじめます」。不良品の数、寸法測定の結果、材料をどこからどれくらい調達したか、体調に至るまで作業にまつわるデータを逐一、手元の端末に入力。これをビッグデータとして解析することで効率的な動きができるようになるのだという。
 たとえば、1年の平均注文数が2000個の製品があるとする。実際には毎月2000個というわけではなく、7000個の時もあれば、1000個の時もある。会社としては、ピークの時にあわせて設備・人員を準備しなければならないため、負荷が大きくなってしまう。そこで、ビッグデータの解析結果を基に納期調整をかけ、ピーク時の負荷を分散できれば、設備も人員も少なくて済むというわけだ。
 多くの場合、こうした作業記録を残すのはトレーサビリティの観点から。紙ベースで残すことがISOで定められていたため、問題が発生したときの確認としては使えるが、ビッグデータとしての活用は難しかった。また、企業の中にはビッグデータを集計したもののどう使っていいかわからず持て余しているところも多い。
 同社はITを使った生産管理の効率化に1985年というIT黎明期から着手。現場を知り尽くした社員が、一個流しに適したWeb管理システムを作りこんでいった。そこでベースとなる仕様を確立したことで、タブレットやビッグデータの活用といった先進的な技術にも早々に対応できるようになっている。
 ISOは今年改訂となり、電子データで記録を残せることになり、武州工業の取り組みに社会が追いついてきたが、林社長は「ISOは卒業」と語り、次の目標を日本経営品質賞に定めている。これは、人材・技術・知的財産など企業の力を1000点満点で総合的に評価するもので、ISO取得レベルだと200点程度にしかならないという。
 「現在、弊社は350点台で、及第点の600点に向けて計画を進めているところです。当面の目標は従業員満足度の向上で、給与体系の見える化・ボーナス・正社員化などを実現しています」
 堅実かつ合理的な経営で、優良企業としての評価が高まっている武州工業。青梅のものづくり、日本のものづくりを支えるため、更なる高みを目指してもらいたい。

body5-1.jpg改善活動にも勤しむ谷内丈彦さん

編集部からのメッセージ

技術を持つ強み。医療・デザイン分野へも進出

 自動車部品の需要が頭打ちになる中で、武州工業の業績が右肩あがりになるのは、技術の活用範囲が広がってきたことも理由のひとつだ。
 たとえば医療機器。同社の精密加工の技術は腹腔鏡手術に使われるパイプには欠かせない。また、きれいな曲線を描けることから、パイプスタンドなどデザイン商品とのコラボレーションも実現している。
 自動車部品に縛られず、社会のニーズに合わせたさまざまな製品に対応できるのは、同社に優れた技術力があるからにほかならない。

目標は計画的に達成。「アタックV」。

 同社の改革はすべて「アタックV」という中期5ヶ年計画に則って、計画的に経営改善を行ってきた。
51~55周年のアタックV55では、「頼れる職人企業へ」をスローガンに掲げ、多能工の育成と設備を準備した。続くV60では「感動のサービスを提供する」を掲げて顧客満足度を追及。現在のV65では「おもてなしの心で」をテーマに従業員満足度アップをめざしている。
 ここまで計画的に改革を成功させている同社なら、日本経営品質賞という目標達成もそう遠い話ではあるまい。

  • 社名:武州工業株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1952年
  • 資本金:4,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 林英夫
  • 従業員数:160名(内、女性従業員数41名)
  • 所在地:198-0025 東京都青梅市末広町1-2-3
  • TEL:0428-31-0167
  • URL:http://www.busyu.co.jp
  • 採用情報:こちらからご確認ください。

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